とある日本の港町、暮らしは決して楽ではない。漁に出ない男たちは、博打、喧嘩に精を出す。女たちはそんな男たちを尻目に家事や子育てに勤しむ。漁師の良雄は同じ港町で働く美智子に思いをよせる。美智子の内縁の夫、鋭次が賭博のもめごとから仲間を殺し逃亡したことをきっかけに、二人は一緒に暮らすようになる。しかし、美智子を捨てきれない鋭次は、執拗に美智子をつけねらう。暮らしの貧しさ、心の貧しさに翻弄される人々の中で、良雄は美智子との愛を貫く生き方に一筋の希望を見出そうとする。名曲「サマータイム」の旋律が、登場人物の怒りや悲しみをおしなだめるかのように流れていく。